ひちへんげ

美術、旅、宣伝やらものおもい

ケルンの平等

リヒターのステンドグラスを見るためにケルンに行った。

ケルンはデュッセルドルフから1時間くらい。

 

前日に「ジャーマンレイルパス」という乗り放題切符を買った。ユーレイルパスというユーロ間で使える便利なパスもあったけど、今回はドイツ内の移動が多いし、チェコに移動してすぐ飛行機でヴェネチアに行くのでジャーマンレイルパスにした。最初バーンカードという切符割引パスを買おうとしたけど、ドイツ在住またはドイツの銀行口座を持ってないとだめらしい。それに切符をいちいち買って時間を調べるのは大変なので、ジャーマンレイルパスで良かったと思う。

ジャーマンレイルパスは使用日数と、連続タイプかフレックスタイプか(毎日使うか、期限内でいつでも使って良いか選ぶ)、座席を1等か2等か選ぶ。日数は、3日、4日、5日、7日、10日、15日の中から選べる。

買えるのはドイツ鉄道の窓口。あとネットで買うこともできるらしい。わたしたちはドイツに2週間滞在するので、移動日数を計算して7日間のフレックス、2等にした。それから12〜27歳はユース年齢なのでぎりぎりユース料金で220ユーロ。だいたい3万くらいだけど、結構移動が多かったのですごくトクだったと思う。他にもツイン料金があったり特典があったり色々するらしい。確かドレスデンからプラハに行くバスが使えるらしかったけど、ドレスデンにはいかなかったので使わなかった。ただヴェネチアでも思ったけどヨーロッパの鉄道パスやカードは結構頻繁に内容が変わるらしいので、最新の情報を調べておいたほうがいいみたい。我々は行き当たりばったりだったので。

 

 

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リヒター

ケルン大聖堂に着いて、リヒターのスレンドグラスをみた。出国前、なんとなく調べてケルンにリヒター作品があると知ったので、計画的とはいえない出会いだったが素晴らしかった。現代美術と西洋美術が完璧にバランス良く両立していた。同時に自分の国の古美術と現代美術の断絶を思い出してしまった。

ケルン大聖堂はドイツ(神聖ローマ帝国時代)にプロテスタントが普及するずっと前のカトリックの大聖堂なので、歴史が深く、あらゆる時代の美術、技法で宗教画やステンドグラス、フレスコが描かれていて、博物館のようでもあった。

隣接する宝石美術館と展望台のセット券を買い、塔に登った…が、古い建物が多いヨーロッパではよくあるらしいけど、エレベーターはなく、狭い螺旋階段を徒歩で登らなくてはならない。確かに、大聖堂は端からみて大きいと思ったけど、登り始めるとレミングのように進み続けるしかないし、最初は笑っていた我々も、途中の窪みのようなところで息を整え、だんだん笑顔が消えていった…。多分、20分くらい登ってた気がする。ちなみに降りる人も登る人も同じ狭い階段なので、でかい外国人とも「へへ…。」と笑いあいながらすれ違わなくてはいけない。でも、なぜだか苦しい息を吐きながら「いま全員が平等だ!」と思った。無論車椅子の人はそこにはいないので歩ける人限定だけど、老若男女あらゆる人種が、あまりの急階段&長さに息も絶え絶えになって「へへ…。」となっている。実際、ヨーロッパ系はもちろんのこと、東南アジア系、韓国人、インド人、アフリカ系様々な人種とすれ違った。マラソンなら途中で逃げることもできるけど、狭い螺旋階段で、スペースマウンテンの待つところみたいに途中離脱も出来ないので、全員登るか降りるかしないといけない。しかも、工事中のせいなのか、登りきった展望台は網がかかっていて、お世辞にも見晴らしがいいとはいえなかった…。。へへ…。

ちなみに私たちはセット券を持ってたけど、特に掲示するところはなかった。

 

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その後、いい雰囲気の川沿いをぷらぷらし、芝生に座って休憩した。だらだらしていると、中国系の7歳くらいの男の子が近寄ってきて、何かを差し出した。土にまみれたスポイト?のようなもので、何やら話しかけながら周りの土をほじくり、同じスポイトのようなものを5個くらい掘り出してその度に自慢してくる。多分同じ民族だと思っているのだろう。今思うと芝生に刺す栄養剤の入れ物か何かだったとおもう。

ケルンも色々見るところがあるようで、時間がなかったがコロンバ美術館に行った。この美術館は中世の教会の遺構の上に現代建築を融合して建ててある。

この美術館については都築響一さんのブログが面白かったし、実際行って深く頷けた。

roadsidediaries.blogspot.jp

できればこのブログにあるクレイジーなカーニバルミュージアムに行ってみたかったが、とにかくあまりにも時間がなかった。またいつかリベンジしたい…

 

川沿いのおしゃれな街並みのすぐ近くに、聖マルティン教会というロマネスク様式の教会がある。なんとなく寄ってみた教会だけど、ちょうど祈りの歌の時間で、信徒たちと修道女、修道士たちが歌っていた。中はとてもシンプルで、真ん中に小さな十字架と台があり、その周りに上から円になるように照明が垂れていて、奥のステンドグラスから自然な光が入ってきている。仰々しいキリスト像や派手なステンドグラスはないけれど、静謐で良い教会だった。観光地の教会は寺とか神社と同じくミーハーっぽくなってしまっているけど、ここは地味だからか人もあまりいなく、地元の信徒の祈りの場になっているようだった。なんとなく前の方に信徒たちが座って、修道女と一緒に歌い、後ろの席には我々のようなキリスト教徒ではない観光客や、信仰心の薄い人が座っていた。この後もいろんな教会に行ったけど、この教会が一番良かった。なぜ古い建物なのに照明(垂れているのは普通の電球だった)や内部が現代風なのかな、と思ったけれど、それも空襲のせいみたいだった。